事業再構築補助金の公募要領について

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補助金に申請してみようとおもったら、一度は通らないといけないのが、公募要領を読み込むことです。

公募要領とは、その補助金を申請する人は皆が暗記するほど読まないといけないものです。実際には暗記する必要はありませんが、何度も何度も立ち返って確認する場所になります。申請書を作成している最中に、わからなくなったり、不安になることがある場合には、まず第一に公募要領の該当箇所を再確認することになります。

公募要領の構成

公募要領は次の様な構成になっています。

  • 事業概要 
    • 補助金額、補助率、対象要件、公募期間、申請方法、注意事項などがまとめられている場所です。サマリーともいえます。
  • 目次
    • 本公募要領の目次となります。
  • 本篇
    • ここから概要で書かれているそれぞれの内容の詳細が記載されていきます。
      1. 事業の目的
      2. 補助対象者
      3. 補助対象事業の累計及び補助率等
      4. 補助対象事業の要件
      5. 事業のスキーム
      6. 応募手続等の概要
      7. 補助対象経費
      8. 事前着手申請の手続
      9. 補助事業者の義務
      10. 事業計画作成における注意事項

 正直なところ、読みにくいと思います。普段からこういう文書を読んでいる方は、内容にある程度まで推測しながら読み進めらるので、さほど苦労しないと思います。しかし、慣れていない方にとっては、かなりの苦痛になるでしょう。法律に基づいて構成されている文書なので、「まわりくどい」と感じてしまう部分が結構あるだろうと予測します。

 もちろん、これ以外にも経済産業省、中小企業庁は、ビジュアルを加味したチラシ的なものも配布しています。しかし、これらは、上記の概要をさらに端的に述べたものだったり、おもいきって端折って書いてあったりするので、申請書作成前には、公募要領を確認することが必要になります。

 事業再構築補助金の公募要領は32ページほどあります。これに加えて、「よくある質問集」が別途公表されることがほとんどです。事業再構築補助金でも、専用サイトにいくことで、項目毎の「よくある質問」がPDF形式でアップロードされており確認できます。

  公募要領を一通り読んでみた後は、この「よくある質問集」にも目を通しておくことができれば、より理解が深まります。

公募要領の最重要ポイント 

 それでは、この公募要領で一番注目すべきポイントはどこでしょうか?

 補助金額?、公募期間?、補助対象事業?

 色々な考え方はあるかと思いますが、最も重要なのは、「事業の目的」だと考えるべきでしょう。なぜなら、この「事業の目的」には、当該補助金が設定された背景と理由がコンパクトにまとまっているからです。最終的には、あなたが作成する申請書は、この目的に合致するように構成していく必要があります。

 申請書を作成していると混乱してきたり、わからなくなってきたりします。そういうときには、「そもそもこの補助金は何を目的としているんだったっけ?」ということで、この「事業の目的」に立ち返る必要があります。補助金にはすべて、政府のなんらかの意図があります。その意図を汲んで、あなたの事業計画を作成していく必要があり、あなたのビジネスのアピールポイントを強調していくことが重要になります。

 すべての起点になるのは(補助金)「事業の目的」であることは忘れないように、申請書作成をすすめるようにしてください。

事業再構築補助金の目的

それでは、今回の事業再構築補助金の目的はなんでしょうか?

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコ ロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転 換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企 業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。

とあります。

まずは「コロナ」です。ここが前提で、今後社会が変化していくという流れの中で、どう「変化」するんですか?というところが問われています。

  1. コロナの影響から、(一定の理由)で売上が減少しているという現状
  2. コロナ後を見据えた所属している業界全体の見通しや消費者動向の変化
  3. 業界の変化や消費者動向の変化から考えた、合理的な新たな需要の増加の予想
  4. 自社の強みを活かして、その新たな需要に応えていくための施策

というシナリオを検討できるかどうか、重要になります。

もちろん、前提として補助対象事業者としての要件に当てはまっているかはチェックします。しかし、そこに当てはまっていたとしても、申請の計画書の基盤となるストーリーがブレブレな場合には採択されることはないでしょう。

事業再構築補助金を考えた時のステップ

それでは、どういうステップを踏んで実際の申請書作りや計画書作りにはいればいいのでしょうか?

いきなり申請書を書き始めて、よく見たら要件を満たしていないので、そもそも申請できない、ということがないように事前にきちんと要件チェックを行っていく必要があります。

補助対象事業者なのか?

そもそも、日本国内に本社を有する中小企業者等又は中堅企業等が補助対象者であるということです。中小企業者等というのは「中小企業基本法」によって、資本金または従業員数(常勤)によって業種ごとに決められています。


これらで「中小企業者」だとしても、株の持たれ方や役員に大企業の人がいるとかによって、大企業とみなされるケースもあります。これを「みなし大企業」といいます。多くのいわゆる「中小企業」であっても、株式構成や役員構成を一通りチェックしておかないと、「みなし大企業」であって、そもそも申請対象になっていないということもあり得ます。

したがって、この対象の事業者としての要件を満たしているのかは、きちんとチェックしておくことが必要です。

どのくらい補助されるのか?

 事業再構築補助金には、「通常枠」「卒業枠」「グローバルV字回復枠」「緊急事態宣言特別枠」と4種類あります。ここで気を付けていただきたいのは、同一法人・事業者での「通常枠」「卒業枠」「グローバルV字回復枠」「緊急事態宣言特別枠」への応募は、1回の公募について1申請に限るということです。また、1回目及び2回目で不採択となった事業者は、当初の事業計画の見直しを行って、3回目以降に再申請することも可能です。ただし、一回交付決定を受けた事業者は、再度申請はできません。また、50%超の議決権を有する子会社は同一法人と見なされます。

 補助金額は100万円から6,000万円で、一部の枠では1億円まで補助されるケースもあります。補助率も枠によって2/3から1/2あたりで、一部3/4まで補助される枠もあります。

 どの枠であっても、というか「補助金」の注意点ですが、原則的には「支払ってから(結果の報告をした上で)受け取れる」ということを覚えておいてください。つまり、申請書をしかっり書いて、採択されたとしてもお金がはいってくるのは、まず支払をした後(正確には、それを形式にのっとって報告書を提出した後)になります。これは、どこかの時点までは、あなたのお金あるいは借りたお金で、その支払いをまかなう必要があるということを意味しますから、資金繰りには注意してください。

事業再構築補助金はどういう要件で補助対象になるのか?

要件はそれぞれの枠ごとに以下のようになっています。

  • 通常枠
    • 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事案であること【事業再構築要件】
    • 2020年10月以降の連続する6ヵ月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月〜3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること【売上高減少要件】
    • 事業計画を認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみ)と策定していること【認定支援機関要件】
    • 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員1人当たり付加価値額の年率3.0%以上増加する見込の事業計画書を策定すること【付加価値額要件】
  • 卒業枠
    • 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事案であること【事業再構築要件】
    • 2020年10月以降の連続する6ヵ月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月〜3月)の同3か月の合計売上高と比較して15%以上減少していること【売上高減少要件】
    • 事業計画を認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみ)と策定していること【認定支援機関要件】
    • 事業計画期間内に、事業再編、新規設備投資、グローバル展開のいずれかにより、資本金又は従業員を増やし、補助対象者に定める中小企業者等の定義から外れ、中堅・大企業等に成長すること【事業再編成要件】
    • 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員1人当たり付加価値額の年率3.0%以上増加する見込の事業計画書を策定すること【付加価値額要件】
  • グローバルV字回復枠
    • 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事案であること【事業再構築要件】
    • 2020年10月以降の連続する6ヵ月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月〜3月)の同3か月の合計売上高と比較しゑ10%以上減少していること【売上高減少要件】
    • 事業計画を認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみ)と策定していること【認定支援機関要件】
    • グローバル展開を果たす事業であること【グローバル展開要件】
    • 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加、又は従業員1人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加する見込の事業計画書を策定すること【付加価値額要件】
  • 緊急事態宣言特別枠
    • 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事案であること【事業再構築要件】
    • 2020年10月以降の連続する6ヵ月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月〜3月)の同3か月の合計売上高と比較しゑて0%以上減少していること【売上高減少要件】
    • 令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・異動の自粛等による影響を受けたことにより、令和3年1月〜5月のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で30%以上減少していること【売上高減少要件】
    • 事業計画を認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみ)と策定していること【認定支援機関要件】
    • 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加、又は従業員1人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加する見込の事業計画書を策定すること【付加価値額要件】

事業再構築要件とはなんなのか?

 事業再構築補助金で支援の対象となる事業再構築は、「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」、「業態転換」、「事業再編」を指します。なお、「事業再構築」の類型の詳細については、「事業再構築指針」にて公表しています。申請に当たっては、各類型ごとに定められる要件(製品等の新規性要件、市場の新規性要件、売上高10%要件(新たな製品等(又は製造方法等)の売上高が総売上高の10%以上となること)等)を満たす計画であることが必要となります。 

新分野展開中小企業等が主たる業種(売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業をいう。以下同じ。)又は主たる事業(売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく中分類以下の産業をいう。以下同じ。)を変更することなく、新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、新たな市場に進出することをいう。 
事業転換中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更するこという。
業種転換中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することをいう。 
業態転換製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更することをいう。
事業再編会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うことをいう。

公募要領を覚えるほど読み込む?

さて、このように、実際に申請書をつくるうんぬんの前に、そもそも「うちの会社は当てはまるのか?」というのを考えるベースは、公募要領に書いてあることを参照にしながら判断をしなければいけません。おそらく、この公募要領を一回読んで、問題なく理解できる方はほとんどいないと思われます。そうなると、何度か読んでみて、実際に自社に適用させながら、再度読み返してみるというような行動が必要になってくるはずです。

結果的に、全部ないにせよ、自分に必要なポイントは理解を深めるために何度も何度も読むことになるはずです。そうすると、イヤになるほど反芻することになり、覚えてしまうことになるかもしれません。

なにはともあれ、すべて公募要領をまず読んでみてください。最終的には、具体的な申請書の作成等は専門家に依頼することになるとしても、まず自分で一度公募要領を読んでみて、どんなことを意図した補助金なのかは知っておいてください。そもそもどんなビジネスをするのかは、この補助金の意図に沿っていないといけないわけですから、補助金が想定している未来を知っておく必要があります。

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