事業再構築補助金の補助対象経費

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補助対象となる経費は、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応の規模の投資を含むものであり、本事業の対象として明確に区分できるものである必要があります。対象経費は必要性及び金額の妥当性を証拠書類によって明確に確認できる、以下の区分で定める経費です。対象経費は、原則、交付決定を受けた日付以降に契約(発注)を行い、補助事業実施期間内に支払いを完了したものとなります。ただし、事務局から事前着手の承認を受けた場合には、令和3年2月15日以降に発生した経費についても補助対象とすることが可能です。 

他の事業とぐちゃぐちゃになって管理されているものはダメです。この補助金申請において計画で示したモノを、明確に区分して管理することが必要になります。また、それを買ったことや使ったことを証拠書類で確認できることを要請されています。

また交付決定日以降に発注を行って、補助事業の期間内に支払を完了することが原則です。一部、手続をおこない承認をうけることで、事前の経費も補助対象とすることは可能です。しかし、事務局からの承認をうけることが必須ですのでご注意ください。

具体的な経費は以下の通りになります。

建物費

1 専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費

2 補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費

3 補助事業実施のために必要となる賃貸物件等の原状回復に要する経費

※1 建物の単なる購入や賃貸は対象外です。

※2 入札・相見積もりが必要です。

※3 2、3の経費のみの事業計画では申請できません。事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応の規模の投資を行うことが必要です。

事業再構築補助金の計画を実施する専用で必要となる建物の建設や改修、またそのために必要な建物撤去や原状回復費に対して支出する費用です。

今回の事業計画では、「ガラッと」変える必要があります。そこで、既存の事業で使っていた施設を大幅に改修しないといけないケースがでてくるはずです。また、その新たな建設や改修を行うために、撤去費用や原状回復費も必要になる可能性があります。そこで、そのための費用について補助金をだそうということです。

事業再構築に必要な建物に関する費用はだしますよ、ということです。しかし、単に建物を購入するとか賃貸することは対象外です。あくまで「専ら補助事業のために」使用されることが必要です。また、入札や相見積をおこなうことが必要です。さらに、事業を変化させて拡大させる事業資産への投資のために使ってもらうお金ですから、単に建物を撤去するだけとか原状回復だけという内容の支出は対象になりません。

事業計画のゴールを達成するために、施設を取得したり改修することが合理的であることを説明した上に、適切な手順を踏んで金額をはじき出すことが重要です。相見積などを取得するために時間がかかる可能性があるので、準備に余裕をもって行うことにご注意ください。

機械装置・システム構築費

1 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費

2 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム 等の購入・構築、借用に要する経費

3 1又は2と一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費

こちらも、「専ら」補助事業のために使用されることが前提です。それを購入するか、製作するか、借りるのかの経費を補助してくれることになります。また、それら設備やシステムを設置するためにかかる経費も対象になります。

機械装置又は自社により機械装置やシステムを製作・構築する場合の部品の購入に要する経費は「機械装置・システム構築費」となります。

自社で製作構築する場合の部品の購入が必要な場合には、それはこの「機械装置・システム構築費」にはいるという指示です。

「借用」とは、いわゆるリース・レンタルをいい、交付決定後に契約したことが確認できるもので、補助事業実施期間中に要する経費のみとなります。したがって、契約期間が補助事業実施期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された当該補助事業実施期間分が対象となります。

リース・レンタルの場合、すべての支払部分ではなくて、補助事業実施期間中のものだけになります。按分計算をして、実施期間中のものだけを補助対象経費として申請することになります。

「改良・修繕」とは、本事業で新規に購入又は本事業のために使用される機械装置等の機能を高めることや耐久性を増すために行うものです。

これも、この事業再構築補助事業で購入するものや、それに使う機械装置のために支出されるものが対象となるという点に気を付けてください。なんでもかんでも対象になるわけではありません。

「据付け」とは、本事業で新規に購入又は本事業のために使用される機械・装置の設置と一体で捉えられる軽微なものに限ります。

こちらも上記「改良・修繕」と同様です。本事業のために使われる場合だけです。

3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合には、中古設備も対象になります。

中古品も一定の条件を満たせば補助の対象となります。ただし、相見積をとるなどの作業が必要となります。したがって、公募の締め切りまでに間に合うようにスケジュール管理に注意してください。

技術導入費

本事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費

この補助事業を推進するために、他社の保有する知的財産権を活用する必要がある場合に、それに関する費用も補助対象になります。特許の利用料などが考えられそうです。

ただし、知的財産権を所有する他者から取得(実施権の取得を含む)する場合は書面による契約の締結が必要となりますので、その点準備をすすめるようにしてください。こちらも急にはできないと考えられますので、時間的に余裕をもって進めることが必要になる項目です。

専門家経費

本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費

今回の計画を遂行するために、一定の専門家のアドバイス等が必要な場合には、その方に支払うコンサルティング料などを補助対象とすることができます。

専門家とは、大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師、技術士、中小企業診断士、ITコーディネーター等になります。

ここで支払うことができる報酬はなんでもかんでもOKということにはなりません。公募要領で規定されている基準に準拠することが必要になります。そうでない水準の支払をする場合には、価格の妥当性を証明するための複数の見積書を提出しないといけないことになります。それでも1日の上限は5万円ということになっています。

※1 本事業の遂行に専門家の技術指導や助言が必要である場合は、学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等 の経費を補助対象とすることができます(※2の謝金単価に準じるか、依頼内容に応じた価格の妥当性を証明する複数の見積書を取得することが必要(ただし、1日5万円が上限となります))。

※2 専門家の謝金単価は以下の通りとします(消費税抜き)。 ・大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師等:1日5万円以下 ・准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ等:1日4万円以下

上記のような基準があります。 資格等で一定の上限がもうけられています。もし、それに準じない場合などには、複数の見積をとって、支払う報酬が妥当であることを証明することが必要になります。

運搬費

運搬料、宅配・郵送料等に要する経費

※ 購入する機械装置の運搬料については、機械装置・システム費に含めることと します。

ここはそんなに迷う点はないと思いますが、※印の点だけ確認しておいてください。購入する機械の運搬料については、機械装置・システム費に含むことになります。

クラウドサービス利用費

これは、おそらく多くの場合でてきそうな経費です。クラウドサービスの利用に関する経費となります。ただし、いくつか条件があるので、※の注意事項をチェックしておいていただく必要があります。

※1 専ら補助事業のために利用するクラウドサービスやWEBプラットフォーム等の利用費であって、自社の他事業と共有する場合は補助対象となりません。

すべてに共通しているのが「専ら補助事業のために」ということです。自社で他の事業と共有してしまう場合には補助対象にはなりません。あくまで、この事業再構築補助金の計画で使うものだけになります。

※2 具体的には、サーバーの領域を借りる費用(サーバーの物理的なディスク内の エリアを借入、リースを行う費用)、サーバー上のサービスを利用する費用等 が補助対象経費となります。サーバー購入費・サーバー自体のレンタル費等は 対象になりません。

この対象経費においては、サーバ購入費・サーバ自体のレンタル費は対象にはなりません。あくまでクラウドでサーバーの領域を借りるような契約の場合です。つまり、AWSを使う費用はOKだということです。サーバーそのものを購入する必要がある場合には、機械装置の範疇にはいってくるはずです。


※3 サーバーの領域を借りる費用は、見積書、契約書等で確認できるものであっ て、補助事業実施期間中に要する経費のみとなります。したがって、契約期間 が補助事業実施期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出 された当該補助事業実施期間分のみとなります。

ポイントは「補助事業実施期間中に要する経費のみ」です。したがって、この期間をこえる経費については按分計算をして、補助事業実施期間にはいっている部分だけを抽出する必要があります。ここは勢いで全部計上してしまいがちなので気を付けたい所です。


※4 クラウドサービス利用に付帯する経費についても補助対象となります(例:ル ータ使用料・プロバイダ契約料・通信料等)。ただし、あくまでも補助事業に 必要な最低限の経費が対象です。 また、パソコン・タブレット端末・スマー トフォンなどの本体費用は補助対象となりません。

ここでよく聞かれる点は、パソコン・タブレット端末・スマホ端末代です。こういう汎用的なものについては補助金の対象経費にはなりません。今回の事業だけにしか使えないものならば対象ですが、他にも使えるようなものは補助金の対象にはなりえない点をご注意ください。

知的財産権等関連経費

新製品・サービスの開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のため の翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費

事業再構築補助金において計画した事業に必要な特許権をはじめとする知財を手に入れるために必要な経費を補助対象経費にすることができます。ほとんどのケースでは弁理士さんに依頼されるはずですので、その手続代行費用が補助対象経費になります。

※1 本事業の成果に係る発明等ではないものは、補助対象になりません。また、補助事業実施期間内に出願手続きを完了していない場合は、補助対象になりません。

他の対象経費でも同じですが、あくまで本事業にかかるものになります。そして、この事業実施機関内に出願手続までを完了していることが必要になります。したがって、スケジュールの調整をすることが大切です。

※2 知的財産権の取得に要する経費のうち、以下の経費については、補助対象になりません。

・日本の特許庁に納付する手数料等(出願料、審査請求料、特許料等)  ・拒絶査定に対する審判請求又は訴訟を行う場合に要する経費

ここは気を付けてください。特許庁に納付する手数料、出願料・審査請求料・特許料は補助対象経費にはなりません。弁理士報酬はなりますが、特許庁に納付するものは対象になりません。

※3 国際規格認証の取得に係る経費については補助対象になります。

国際規格の取得についての経費はOKです。

※4 本事業で発生した知的財産権の権利は、事業者に帰属します。

この知的財産を産み出したのはあなたの会社ですから、当然この知的財産の権利はあなた(の会社)に帰属します。

広告宣伝・販売促進費

本事業で開発又は提供する製品・サービスに係る広告(パンフレット、 動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール 活用等に係る経費

文字通りですが、広告宣伝費や販売促進費の経費を補助対象にすることができます。事例として、広告(パンフレット、動画、写真等)の作成と媒体への掲載が代表的です。その他に、展示会への出展、セミナー開催、市場調査、営業代行の利用、マーケティングツールの活用に関するものも補助対象になります。

ここは考えて見ると、いろいろな場面で対象となる経費を検討できるのではないでしょうか。

※1 補助事業以外の自社の製品・サービス等の広告や会社全体のPR広告に関する経費は対象外です。

ここも他と同様ですが、補助対象の事業に関するものだけです。補助対象事業以外の事業の広告や会社全体についての広告についての経費は対象になりません。あくまで、補助対象事業についてだけです。

※2 補助事業実施期間内に広告が使用・掲載されること、展示会が開催されることが必要です。

ここも、他のものと同様です。補助対象となる部分は、補助事業実施期間中に行われて支払が完了したものになります。

研修費

本事業の遂行のために必要な教育訓練や講座受講等に係る経費

新しいことをはじめるわけですから、一定の研修等を実行していかないといけない可能性が高いと考えられます。そのための費用は補助対象経費になります。

※1 補助事業の遂行に必要がない教育訓練や講座受講等は補助対象外となります。

ここもあたりまえですが、あくまで補助事業の遂行に必要なものが補助対象です。それ以外は補助対象外です。

※2 教育訓練や講座受講等に係る費用の補助を希望する場合は、事業計画書中に1 研修名、2研修実施主体、3研修内容、4研修受講費、5研修受講者についての情報を必ず記載してください(この5点が明記されていない場合や、不適切な訓練や講座が計上されている場合などは、研修費を補助対象経費とすること はできません)。

研修講座をうける場合には、提出する事業計画書に上記の5点について詳細な情報を記載することが必要です。したがって計画策定時点で、どの講座を受講するのかということを特定しておくことが必須です。

※3 研修受講以外の経費(入学金、交通費、滞在費等)は補助対象外となります。

研修受講に付随する経費などは補助対象になりません。移動費や宿泊費などはダメです。ここは細かい点ですがご注意ください。

※4 教育訓練給付制度など、本事業以外の国や自治体等からの教育訓練に係る補助・給付を重複して利用することはできません。

教育訓練給付制度といったような似た研修にかかる補助や給付については、被らせて利用することはできません。したがって、研修からみで補助金や給付金を受ける予定がある場合にはチェックを厳しくしてみてください。

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